いつも時間がないあなたに

「いつも時間ないあなたに」という本を読んだ。

そこに書いてあったことで、1つ、ビックリしたことがある。

 

労働時間として週40時間が最適なようだ、ということを導いて実践したのは、米国のヘンリー・フォードだったらしい。彼が自動車などの工場で色々と試してみた結果として、週40時間の労働というサイクルが、生産効率最適という結論だったらしい。

 

T型フォード と呼ばれる自動車の大量生産が現代の車社会のハシリであったことは、たぶん25年ほど前に経営学を学んだ学生にとっては「知らなければモグリ」というぐらいに有名なことだ。でも、そのフォードが、週40時間の労働時間が最適ということを発見していたという話は、それなりに必死に経営学を学んでいた学生だった自分は、まったくきいたことがなかった・・・。ビックリした。

 

これに触発されて、最新の米国の研究成果をいくつか調べてみると、労働時間が週48時間を超えると、限界生産物の量が低下していくという研究結果が発表されていた。

https://www.lifehacker.jp/2017/02/170201_work_less.html

https://siepr.stanford.edu/people/john-pencavel

http://ftp.iza.org/dp8129.pdf

3つ目のURLが論文そのものだ。

原文を全部読む時間はないので、つまみ食いしてみたが、どうもかなり限定的な環境下での考察のような気がする。どこまで普遍的な話かは分からない。けれど、自分の親戚でスーパーの店長を長年務めた人も、「だいたい、19時とか20時が限度や。毎日9時ぐらいから働くとして、そのぐらいで終わらせんと、効率悪くなる」・・・と言っていたので、大体あたっている気がする。

 

改めて、最適な労働時間の根拠に触れた気がしたので、少し驚いたこともあって、記録しておく。

 

これとあわせて、「時間管理術」という日経文庫の古い本も、改めて読むとすごく新鮮で普遍的なことが書いてあった。

 

毎日の時間の使い方を再考するのに、すごく役立ちそうだ。

 

・・・労働時間のこと以外に、「いつも時間がないあなたに」という本で書いてあったのは「処理能力」の「欠乏」についてだった。これはこれでとても面白く、参考になることが書いてあった。処理能力が欠乏することによって、IQでいえば10ポイント程度の能力差が発生することが学術的に確かめられた、ということらしい。貧困によって、時間やお金や物資はもちろんだが、未来を良くする活動のための「処理能力」も奪われている、という考察が、当然のようでいてそうでもなく、けっこう衝撃だった。

 

何度か読み直して、人間の行動とか社会の原則として理解しておきたい本だ。