日本はなぜ貧しい人が多いのか 〜「意外な事実」の経済学〜

新聞やテレビで語られない「本当の話」、というフレコミが帯に書いてある本。実際かなり面白かった。短編がまとめられたものなので、通勤時間に少しずつ読んだ。

新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学

新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学

サッカーのことまでふくめて、いろいろな事象を事実に基づいて分析しており、非常に参考になる。政治か経済に興味のある人にはぜひ読んで欲しい本。以下、私が気になったポイントをいくつか。
<メモ>

  1. 現在の日本の年金を半分にしても、アメリカとスウェーデンの年金に劣ることはない。すぐさま高齢者へのサービスを削って、若者の負担を減らすべきだ。GDP比率で考えたとき、日本は家族を助ける支出がイギリス、オランダ、ドイツといった国々に対してかなり劣っている。
  2. 日銀の政策は「ゼロ%物価成長」といえるものであり、デフレ的バイアスを持っている。経済を成長させるには物価を上げるのが定石だが、日銀はそれをしていない。
  3. 昭和恐慌の原因は、日銀が旧金本位制への復帰を狙って金融を引き締めたことにある。これがマネーサプライ減少⇒GNP減少⇒政府への民衆の不信⇒軍部の台頭といった動きにつながっていった。
  4. 輸入によって労働生産性が高まり、生活水準が向上する。
  5. 生活水準と国際競争力は比例関係にはない。
  6. 日本の地方の公務員は、当該地方の民間企業体に比べて給料が高い。このため都会よりも地方の報が、民間に優秀な人材が行かない傾向が強いかもしれない。
  7. 1990年代の日本は、円高によって国際的に見た賃金水準があがり、海外のものを安く買えるようになった半面、仕事を失うことになった。