電通とリクルート

博報堂社員で、現在は独立されている山本直人氏が書いた本。
電通リクルートという2大広告企業の軌跡を追いつつ、戦後の広告と日本人の生活を振り返った本。

電通とリクルート (新潮新書)

電通とリクルート (新潮新書)

広告に興味のない人でも面白く読める。経済や近代史に興味があるなら読んでおいて損はないと思うし、現在の広告市場環境を考えるうえでももちろん役立つと思う。

<メモ>

  1. 民放ラジオは1951年、民放テレビは1953年に開始された。この民放の開始に電通は当初から深くかかわっている。
  2. 広告の機能は、初期は「拡声と伝達」だった。それが1970年ごろから「意味の書き換え」に変わった。
  3. 1985年に博報堂の研究所が「分衆」という言葉をつくり、新語大賞を受賞している(感想:このころから、大衆の分散というか、自分のことを自分で決める個人主義が主流になっていったらしい)。
  4. 社会学者の橋本健二氏は、1980年代を「格差拡大のはじまり」と位置付けている(感想:このことは驚きだった)。
  5. 80年代になってようやく生活における選択・判断を行うことが一般的になってきた。それまでは一部のエリートのみがそういったことを行っていた(感想:あるいは、普通に生きていくだけならあまり選択・判断する機会がなかったということだろう)。