休みを使って何冊か本を読んだ。その中で、これまでなんとなく気が進まなかったサミュエル・ハンチントンの書籍を1冊だけ読んだ。それがこれ。
- 作者: サミュエル・ハンチントン,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/01/18
- メディア: 新書
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予想に反して面白かった。世界史と世界情勢を考える上で明快な切り口を与えてくれる。内容は平易なので、前著「文明の衝突」を読んでいなくても問題なく理解できる(私は読んでない)。
この本によれば、現存する文明は以下に区分できるそうだ。そして、この区分をもたらしているもっとも重要な要素は、その地域で主となっている宗教だということらしい。
1.西欧 2.アフリカ 3.中国 4.ヒンドゥー 5.イスラム 6.日本 7.ラテンアメリカ 8.東方正教会 9.その他(順不同)
世界史と宗教をまともに学習したことがないので、まずこの区分が新鮮だった。当然といえば当然だが、ロシアとEUでは文明圏が異なることはこの本を読んではじめて明確に意識した。
また、日本のことを世界の学者たちが「独立した文明」として認識していることはなんとなく知っていたが、原書が日本語でない文書でそれを明言している本に初めて出会った。
サミュエル・ハンチントンは50代で米国国家安全保障会議のメンバーを務めた経験を持ち、アメリカを代表する戦略論の専門家らしい。てっきり国際関係方面の政治学出身の純粋な学者かと思っていたが、そうではないらしい。そういう経歴を持つ人が大胆に世界情勢を分析していることにも驚いた。そういう立場の人がここまで書いていいのか?という印象を受ける本だ。
「軍人と国家」という本も書いているらしく、そちらも気になる。
ハンチントンがこの本を出版したのは2000年。当時、すでに73歳。経営の方面ではドラッカーが著名だが、この人も相当凄い。彼らのように、歳を重ねてもエネルギーにあふれた人生を過ごしたい。そういう点でも刺激を受けた一冊だった。