構造化するウェブ

「ウェブがどこから来て、どこへ行くのか、過去から未来へと紡がれるウェブ進化の系譜を、技術に基づいてできるだけ平易に解説していく」(「はじめに」から引用)という目的でまとめられた本。いまの自分の興味関心と合致していて、かつ、将来の社会を考える上で役立ちそうなので手にとってみた。

ブログに代表されるWEB2.0的なサービスとは一体どんなもので、どんな技術がその背景にあるのか、とても分かりやすく記述してある。面白い。私はIT業界で働いた経験があって、少しだけ「コンピューターとネットワーク」に関する知識がある。けれど、この本を読んでみて「インターネット上に展開されるウェブサービス」のことは何も理解していなかったことに気づかされた。


大雑把に内容をまとめるとすれば、インターネット上のウェブの世界で情報の「構造化」が進展し、そのことがウェブ2.0的なウェブサービスを発展させていっている、というのがこの本の主張だ(その主張に沿って関連技術が平易に解説されている)。私はこの主張から、他の産業や技術分野と同じ流れがインターネットの世界にも存在しているんだな、という気づきを得た。


例えば、会計学(簿記)も一種の「技術」である。会計学は、一定の手続きに沿ってお金の流れを処理することによって、お金の流れの適正把握を可能とする技術だ。表現を変えるなら、会計学は、組織内のお金の流れに関する情報を「構造化」するためのものだ。この技術があるから、投資家は決算書類から会社の状態を知ることができるし、組織対組織の取引を安心して行うことができる。世界中に企業会計の一般原則(複式簿記、発生主義)が広まっていくことによって、投資家や事業家は世界中どの国でもその企業を理解することができるようになって、経済活動がより活発になっていっているのが現代だ。


インターネットの世界では、ウェブ上の情報の構造化が進むことによって、ウェブ上のコンピューター同士で情報をやりとりすることが容易になり、ウェブ上でのコンピューティングがより活発になっていっている。要するにそういうことらしい。


具体的なサービスのレベルで考えると、はてなダイアリーで自分の日記を検索することが簡単かつ高速で可能なのは、はてなダイアリーというウェブサービスに含まれる情報が上手く構造化されているからだ。なんとなくわかっていたけど、少し具体的に理解できてかなりすっきりした。


気になった単語や表現を書き留めておく。

  • SOA(Service Oriented Architecture)
  • 情報の構造化
  • セマンティックウェブ
  • HTMLとXML
  • XHTMLCSS
  • XML+XSL
  • Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)
  • RSS(Rich Site Summary)
  • WEB2.0のブレイクポイントとしてのブログ
  • ウェブサービスを構成する三大技術(SOAP、UDDI、WSDL
  • SOAPXML文書をHTTPやSMTPといった通信プロトコルに載せるための封筒)
  • UDDI(ウェブサービスを自動発見する仕組み。DNS検索エンジンに近いが、セキュリティなどの問題から、プライベートネットワークでの活用にとどまっている)
  • WSDL(あるウェブサービスを利用するときの使い方を説明する文法、もしくはその文法に準拠して書かれた使い方の文書そのもの。XMLで記述される)
  • ウェブサービスは、そのデータを処理するためのルール(メタ情報)も通信や演算の対象となるため、処理に時間がかかる。通信の基盤であるHTTPも万全のものではない。
  • CGM(Cunsumer Generated Media)
  • 情報の構造化は、個人が社会に対して持つ力を拡張する。


へんな時間に昼寝して、ブログ更新が遅くなってしまった。寝よう。明日も業務量が多い予定だしなぁ・・・。